星の郷教室でそろばんを練習する目的は様々だと思います。入会時の目標がそのまま続いている人もいれば、変わっている人もいるでしょう。練習時間の多い皆さんの中には、衣食住と同様に、目的を意識することもなく日課になっている場合もあるのではないでしょうか。
現在高校1年生になっているある生徒は小学高学年の頃、『(星の郷)教室に住みたい』といっていたそうですから、まさに生活の一部になっていました。
授業ではよく短い文章を生徒に書いてもらいます。成績が良いときや悪いとき、前回の練習点から大きく上がったときや下がったとき、自己記録を更新したときや自己記録に遙かに届かなかったとき。気になる間違いをしたとき。課題を克服したとき。出席直後から不機嫌な顔をしているとき。トイレから帰ってくる階段をおそろしくゆっくりと歩いているとき……。
そろばんや暗算の実力養成に関係のあることから全く関係のないことまで、とにかく言葉にしてもらいます。
書くことが思いつかない場合は、「わかりません」と書くことを認めていますが、適当な言葉でごまかそうとすると、書き直してもらいます。
文字にするためには頭で考えてまとめなければなりません。行動を思い起こさなければなりません。何も考えずにやっていたならば、何も考えずにやったこと自体を意識しなければなりません。そうして、何も考えずに起こした行動は、身につくものがないことを学んでいきます。
10月22日は珠算能力検定試験1~3級と、段位認定試験が行われました。試験に向けて約1ヶ月、答案を分析し、いろいろな指導を行ってきました。同じ間違いを繰り返す生徒には、間違いに対する感受性を磨くような言葉がけや意識付けを行ってきました。
すると、課題克服に向けて「○○の目的を達成するために○○の目標を決める。目標をクリアするには○○の問題を○○を意識して○○秒でできるように練習を繰り返す」といった、明確な活動内容を言葉にできる生徒が増えてきました。
生徒は失敗から学んだのです。
目的・目標がなければ失敗という概念はありません。また、行動しなければ失敗は生まれません。「失敗は成功のもと」の原則は、生徒によって毎日毎時間証明されています。
そろばん教室は、安全に間違うことができる場所です。何度失敗しても大丈夫です。間違いや失敗をしっかり取り返す努力さえ惜しまなければいいのです。
これもそろばんを練習する現代的な意味の一つだと思っています。