塾長ブログ

2025.02.25

進度について(塾報2月号より)

 開塾以来最も早く珠算能力検定1級に合格した生徒の話です。
 この生徒は小学6年の8月に入会し、初歩教材PERFECTの1を入会初日に終了、2を2日目に終了。12月末に3級以上で出題される小数の学習を終了し、翌年2月の商工会議所検定で2級と1級の両方を受験して両級とも合格しました。無制限クラスですべての授業に出席するだけでなく、家でもかなりの時間、練習をしているようでした。
 とはいえ、思い込んだらトコトンというタイプかというと実はそうでもなくて、オンとオフの切り替えが実に巧みでした。集中力が途切れそうになると軽く顔をあげ、ほんの一呼吸をはさんで問題に取り組んでいた姿が今でも印象に残っています。
 できないことやわからないことをそのままにすることはなく、質問することを面倒臭がらず、そして恥ずかしがらずできる生徒で、何よりも優れていたのは、「真似をする能力の高さ」でした。「教えられたとおりにきちんとやる」能力です。
 そろばんで行う計算は四則計算と同様に「正しいやり方」があります。そろばん3級で小数、2級で補数計算(マイナス計算)を学んで、計算方法そのものの学習は終了します。
 それぞれのレベルで、①覚えるべきことを理解し、②理解したことを正しく再現し、③再現速度を上げていくという3つの段階がありますが、ここにかなりはっきりとした個人差があるのが現実です。
 個人差には年齢によるものももちろんありますが、年齢差以上に影響を与えるのが「意識の差」です。
 16×625という問題で説明してみましょう。答えは10000ですが、そろばんでは0と空位との見た目の違いはありませんから、例えば1、10、100、1000、10000、100000の区別はありません。
 この問題は2桁×2桁レベルの問題を完全に自分のモノにしてから指導します。生徒たちは「2桁と3桁のかけ算の答えは5桁になる。ただし、かけ始めのかけ算九九に『が』が含まれる例題のような問題は4桁になる場合がある」ということを知っています。4桁になるか5桁になるかは、計算したそろばんのどこの桁に「1」があるかということや、「1×6=6」で計算を始めたものの、続く計算によって6が10に変化したことから5桁であると判断します。指導直後は理解が追いつかなかったり、もう一押しが必要だと判断したときには、「16×624=9984、16×626=10016」などの類題を出して16×625が10000という5桁になることを印象づけます。
 実はここから「気をつけてやっていこうと思う派」と「あまり考えない派」が分化していきます。「気をつけてやっていこうと思う派」は上述の「②理解したことを正しく再現」する段階をクリアしましたから③の「上達していく」段階に入ります。
 対して「あまり考えない派」は、たまたま点数が良かったり悪かったりを繰り返していきます。再現性のない間違いや原因のない間違いから得られる指導のポイントは少なく、ともすれば「きちんとやろう」といった精神論に流れがちになります。家庭では保護者の皆さんが同じ指摘を何度も繰り返し、子どもたちは「同じことを言われなくてもわかってる!」と反論するような場面に近いかもしれません。罰が与えられるような場面になると突然「考える派」に変わるのもこのタイプによく見られる傾向です。
 さて、③の段階には③の段階の難しさがあります。具体的にはスピードを意識すると間違いが増え、かといって慎重になりすぎると得点が伸びないといったことや、暗算をしている間に自然に頭の中の珠の形が変わってしまうといったようなことがよく出てきます。
 しかしながら難しさは、同時に「価値」を併せ持っています。難しさを克服していく過程で得られる経験や試験へのチャレンジと「試験合格」は大きな自信を生み出しますし、たとえ不合格だとしても結果への向き合い方や反省、新たな課題の発見という価値があります。
 これらの「難しさ・価値」を味わうには『練習量』がどうしても欠かせない第一要素となります。大谷選手が160㎞のスピードボールを打ち返す映像を何千回観ても、体操の金メダリストが鉄棒の着地をピタッと止める場面を何万回観ても、私は絶対に同じようにはできません。できるようになるためには順を追ってきちんと練習をする以外にないのです。
 まったく練習をしていなくても目をつぶってバットを何回も振り続けたり、柔らかいクッションにわけもわからずクルクルと飛び降りれば偶然うまくいくことがあるかもしれませんが、それは実力ではありません。
 理解していることが繰り返し再現できるようになって初めて技術になります。
 そろばんの練習でいえば「練習量」は「時間×集中力(真剣さ)」で表されると考えています。いくら時間をかけていても、そこに明確な意識がなければかけた時間が無駄になりますし、かといって意識だけが旺盛でも実際に練習をしないと技術は伸びません。
 練習時間が半分になったとすれば、2倍の集中力(=真剣さ)で取り組めば同じ効果が得られます。
 3級以上はすべての生徒にとって理解した計算方法を正しく速く現実化していく訓練です。この訓練が脳を活性化させ、人間力を高めていきます。
 生徒によって進級速度の違いや段・級の到達点の違いが生じるのは先に挙げた①②それぞれにかかる時間と③のとりくみがとても大きく関わるのは否めないところではありますが、教室としましては個々の能力や事情を加味した上で指導上の配慮や練習環境でよりよくカバーできるよう日々教材の開発や改善に注力しています。
 進度のスピードや練習時間に関するご相談はどうぞご遠慮なくお寄せください。上述の3つの要素を中心に教室での取り組みと練習の様子をお伝えいたします。
 ご家庭と教室の両輪で生徒の皆さんの成長を確実なものにしていきたいと考えています。

コメント

コメントフォーム

ACCESS{アクセス}

教室名 星の郷総合教室
所在地 〒576-0022
大阪府交野市藤が尾4-6-10
電車の場合 JR片町線星田駅、または、京阪電車河内森駅から徒歩15分
自動車の場合 第二京阪道路交野南インターチェンジから5分、交野北インターチェンジから10分
国道168号線西川原交差点を西に入り、1分