塾長ブログ

2024.11.25

持続的向上(塾報11月号より)

 毎号合格者を紹介しているフラッシュ暗算とは、パソコンのモニターに次々に映し出される1桁・2桁・3桁の数字を珠算式暗算でたしていく練習種目です。桁数、出題される口数(口数とは出題される数字の個数をいいます。5秒間で2桁の数字が15個出題されるとすれば「2桁15口5秒」というように問題内容を表します)、スピードによってランク付けがされており、十段から10級までの20段階あります。
 10級は「1桁4口4秒」の問題が10題出題され、8題以上正解すると合格になります。ちなみに十段は「3桁15口3秒」というレベルになります。
 10級から「2桁4口」程度までなら珠算式暗算でなくとも筆算式で計算することができますが、その先となると筆算式や暗記式では太刀打ちできなくなります。
 珠算式暗算は、そろばんの珠の動きを頭の中で映像として思い浮かべて行う暗算です。「5+9は14」というような暗記ではなく、また9を5と4とに分けて「5+5+4」と計算するものでもありません。頭の中にそろばんの珠のようなものを浮かべて「5+9」の珠の動きを再現します。きちんとそろばんの珠を想像するために、最初のうちはあたかも実物のそろばんをはじくように指先を動かすように指導します。私たち指導スタッフはその指先を見て珠算式暗算の定着度を確認します。頭の中は見えませんから、生徒がはじく想像上のそろばん、すなわち「透明そろばん」で生徒の頭の中をのぞきます。
 答えがあっていても指があっていなければ珠算式暗算を習得していることにはなりませんからフラッシュ暗算検定では不合格にしています。特にはじめの段階では正解することが目的ではなくきちんとそろばんの珠を想像して正しい珠の動かしかたを身につけることのほうが大切です。
  というようなことを説明して、開塾当初から初歩の本を卒業した生徒にフラッシュ暗算を導入してきておりました。9割ほどの生徒は最初は戸惑いつつも何度か繰り返す間に珠算式暗算が身についていくのですが、出題されるスピードについて行くことが難しかったり想像することが苦手な1割程度の生徒の皆さんは計算問題としては易しい程度から練習が始まることもあって、どうしても筆算式になっていました。スタッフが横についているとがんばって珠算式暗算で計算しますが、目を離すと暗記をして答えを出しています。注意をしてもそのときだけで長続きはしません。正解を出したいという純粋な思いからの行動であるだけに、注意をしつつも救う手立てを作ることができない申し訳なさが私にはずっと同居していましたが、開塾26年目に突入した今秋、ようやく解決の糸口が見つかりました。
◎アプリ開発
 珠算式暗算の最も基本的なところから練習できるアプリを開発し、現在初歩教材に取り組んでいる生徒の皆さんから導入しています。練習している生徒のそばにスタッフがついて指導と観察を行っては内容の改良を毎日のように進めています。現時点で考え得る最良のものを提供しつつも最良だったはずのものがあっという間に過去に追いやられることの繰り返しです。
 11月17日。暗算指導において日本トップクラスの先生の講習をオンラインで拝聴しました。その講習中に思いついて作成した教材が現在毎時間開始時に行っている「ミニプリント」です。11月20日の授業からみらい検定の練習生徒全員が使い始めました。3つのランク、3種類の問題でスタートしましたが、その日の間にランクを超える生徒が複数名現れたため21日には5ランク5種類の問題に増設しました。さらに21日の授業中に思うところがあって22日には7ランク7種類の問題に再度増設しました。生徒は来るたびに問題の種類が変わっていますから対応が大変だったと思います。
 練習して変化するのは生徒だけではありません。私たち指導する側の指導力も教材も変化しています。ただ私たちの変化は生徒たちの「伸びていく事実」が伴ってのみ意味を持ちます。
 早いもので教室開設26年目の年末になりました。星の郷教室は今年も「永遠に未完成」なまま年末を迎え、そして来たる2025年もおそらく変わりなく「変わり続ける教室」だと思います。皆さんの「持続的向上」を目指す場と
して星の郷をどうぞご活用ください。

2024.09.25

みらい検定(塾報9月号より)

◎みらい検定がはじまり1年が経過しました。施行からまだ日が浅く、学童期にそろばんを習っていた保護者の皆様にはなじみがないみらい検定です。一年前の塾報に掲載しました文章をここに再掲します。
「みらい検定は、レベル1~3の3つのカテゴリーに分かれています。レベル1では7~10級、レベル2では4~6級、レベル3では1~3級が合計得点で認定されます。合計点が基準点を超えていて、種目点が基準点を超えていなければ『準級』合格となります。1級・4級・7級合格でレベルが上がります。
◎みらい検定の『あんざん』練習ではレベル間の難易度格差を埋めるために、レベル1と2の間、レベル2と3の間に別の練習を入れています。申込書配布期間や試験日にこの練習に取り組んでいる生徒の皆さんには申込書を配布しない場合があります。
◎従来から受験をしてきております各種検定とみらい検定とでは、合格級が同じでも難易度が異なります。みらい検定の『そろばん』1~3級は、日本商工会議所珠算能力検定とほぼ同レベルですが、みらい検定『あんざん』は難易度が高くなっています。そのため従来検定よりも合格級が低くなる場合がほとんどですが、より実践的な暗算能力の育成に適しています。
◎検定や競技会は上達するためのきっかけになる教材としての意義もあります。どうしても結果だけに注目しがちですが、日常の取り組みにも大きな意味があります。

2024.06.18

検定の種類について(塾報6月号より)

◎現在、星の郷教室では次の検定試験を行っています。
①1~3級珠算能力検定試験
②暗算検定試験
③珠算段位認定試験
③暗算段位認定試験
④珠算能力到達度検定試験(みらい検定)
④暗算能力到達度検定試験(みらい検定)
長年にわたって①~③の試験を実施してきましたが、早期上達と暗算力のいっそうの強化を目的とした④の検定が始まってからは、技術向上に向けて④のみらい検定を経て③の段位を受験するルートが加わりました。生徒の皆さんにはそのときどきの状況と希望を聞きながら受験を勧めています。しばらくはいろいろな検定が並行して実施されますことからわかりづらくなっています。ご質問がありましたら個人LINEのほうにお寄せください。

2024.05.25

点数だけで判断できないもの(塾報5月号より)

 授業が終わると、全員のプリントを回収して授業後または翌日に答案のチェックを行っています。
 答案には、技術の伸び、間違い方、答案記入方法、指導の浸透度、計算題数、数字の丁寧さ、書き直しの数、集中度合いなどが記録されています。答案は生徒の技術面・精神面がとてもよくわかる情報の宝庫です。
 間違えている問題には必ず目を通します。間違いを繰り返す可能性が高い場合や理解が完全でないことから起こる間違い、指摘を繰り返している間違いなどは必ず次の出席時に指導を行います。
 答案を見続けていますと、点数があまり上がってこないものの、間違いがどんどん改善されていく様子がわかります。
 たとえばそろばん1級のみとり算。10桁の数字を10個たしたり引いたりする問題で数字は100個あります。100個の数字を計算するためにそろばんの珠を操作する指の動きは200から300にもなります。1分でこれだけの作業を行い、しかも一箇所のミスも許されないのがそろばんです。部分点がありませんから、一箇所間違えても十箇所間違えてもバツに変わりはありません。しかしながら、一箇所の間違いは十箇所の間違いよりも集中力・技術力は遙かに上回っている答案になります。
 練習を重ねていくうちに、間違い箇所が減っていきます。それでもまだ正解とはならないため、生徒本人には成就感も達成感もそれほど感じることができない状態ですが、確実に技術も精神力も上がっていっていますから、私たちはその点を評価して生徒に伝えます。
 目に見える点数だけで判断できないところがそろばんの面白さであり難しさでもあります。
 満点の答案であっても、課題の克服が進んでいない場合は評価としての満点を与えることにはなりません。逆に、たとえ点数が低くてもチャレンジしている気持ちがあり、課題の克服が少しずつでも進んでいる答案はその時点での評価は満点になります。
 習い始めた瞬間から、練習を通じて生徒の皆さんはちょっとした成就感と挫折感を日常的に味わいます。この繰り返しが情緒をはぐくみ、健全な成長を促すものと信じて指導に当たっています。

2024.01.25

凡事徹底2(塾報1月号より)

◎練習プリントが残り少なくなったことをある生徒がそっと報告してくれました。指導の合間に補充できたことで授業に空白ができることを防ぎ、プリントがなくて困る生徒が出ることを防ぐことができました。最後の一枚を取った人がすぐに報告してくれることもあります。準備不足だった私は生徒に救ってもらっています。
◎前列から一枚ずつ自分のプリントをとって残りを後ろに渡していくとき、一枚不足していれば最後から2番目に座っている人が最初に気づきます。その人が速やかに不足を訴え出れば、最後列に座っている人は救われます。再配布にかかる時間も短縮でき、全体が救われます。
◎1月20日の特別練習終了時、車の送迎場所でいつもの通り交通整理のために立っていた私に、軽く手を挙げて通り過ぎるドライバーさんがいらっしゃいました。乗降場所に生徒が未着だったために、「もう一周回ってきます」という意思表示を私にさりげなく伝えてくださる手振りでした。とてもスマートで、寒風の中ではありましたが心が温まりました。
◎落ちているプリントをそのままにせず拾い上げる生徒。次に停める人のことを考えて自転車を停める生徒。自転車を出しやすくするために手伝ってあげる生徒。交換採点の時に感謝の気持ちを口にできる生徒。
◎ちょっとした場面に『人』がでます。その『人』は育ってきた環境を学習することで、良くも悪くも決定されます。良い場面を目にしたとき、私はご家庭の雰囲気に思いをはせることがよくあります。
◎入室時や退室時に、あいさつをしない、あるいはしていても聞こえない生徒がいます。指導すると改善されますから、指導を受ける場面がこれまであまりなかったのでしょう。
 ずいぶん前のことです。賞品を買いに行った店で、知り合いのそろばんの先生親子に会いました。中学生くらいの息子さんに「金本先生に挨拶しなさい。ポケットから手を出して!」と命ずるお父さん先生はポケットに手を突っ込んでいました。血は争えないものです。
◎年末年始、「今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします」「明けましておめでとうございます」と、恥ずかし気にも精一杯伝えてくれた生徒が何名かいました。ご家庭の皆様に指導され、練習してきた光景が目に浮かびます。
◎パナソニック創業者の松下幸之助氏はリーダーとして成功する人の3つの条件として「愛嬌」「運が強そうなこと」「後ろ姿」を社員に示したそうです。私にはご家庭の皆様の後ろ姿は直接見えませんが、日々の生徒の言動を通じて良い後ろ姿を想像させていただいています。
◎ひるがえって自分自身を考えてみると想像するだに恥ずかしいことも多々ありますが、今まで通り真正面から生徒と全力で向き合う2024年にすることを誓います。

ACCESS{アクセス}

教室名 星の郷総合教室
所在地 〒576-0022
大阪府交野市藤が尾4-6-10
電車の場合 JR片町線星田駅、または、京阪電車河内森駅から徒歩15分
自動車の場合 第二京阪道路交野南インターチェンジから5分、交野北インターチェンジから10分
国道168号線西川原交差点を西に入り、1分