塾長ブログ

2024.05.25

点数だけで判断できないもの(塾報5月号より)

 授業が終わると、全員のプリントを回収して授業後または翌日に答案のチェックを行っています。
 答案には、技術の伸び、間違い方、答案記入方法、指導の浸透度、計算題数、数字の丁寧さ、書き直しの数、集中度合いなどが記録されています。答案は生徒の技術面・精神面がとてもよくわかる情報の宝庫です。
 間違えている問題には必ず目を通します。間違いを繰り返す可能性が高い場合や理解が完全でないことから起こる間違い、指摘を繰り返している間違いなどは必ず次の出席時に指導を行います。
 答案を見続けていますと、点数があまり上がってこないものの、間違いがどんどん改善されていく様子がわかります。
 たとえばそろばん1級のみとり算。10桁の数字を10個たしたり引いたりする問題で数字は100個あります。100個の数字を計算するためにそろばんの珠を操作する指の動きは200から300にもなります。1分でこれだけの作業を行い、しかも一箇所のミスも許されないのがそろばんです。部分点がありませんから、一箇所間違えても十箇所間違えてもバツに変わりはありません。しかしながら、一箇所の間違いは十箇所の間違いよりも集中力・技術力は遙かに上回っている答案になります。
 練習を重ねていくうちに、間違い箇所が減っていきます。それでもまだ正解とはならないため、生徒本人には成就感も達成感もそれほど感じることができない状態ですが、確実に技術も精神力も上がっていっていますから、私たちはその点を評価して生徒に伝えます。
 目に見える点数だけで判断できないところがそろばんの面白さであり難しさでもあります。
 満点の答案であっても、課題の克服が進んでいない場合は評価としての満点を与えることにはなりません。逆に、たとえ点数が低くてもチャレンジしている気持ちがあり、課題の克服が少しずつでも進んでいる答案はその時点での評価は満点になります。
 習い始めた瞬間から、練習を通じて生徒の皆さんはちょっとした成就感と挫折感を日常的に味わいます。この繰り返しが情緒をはぐくみ、健全な成長を促すものと信じて指導に当たっています。

2024.01.25

凡事徹底2(塾報1月号より)

◎練習プリントが残り少なくなったことをある生徒がそっと報告してくれました。指導の合間に補充できたことで授業に空白ができることを防ぎ、プリントがなくて困る生徒が出ることを防ぐことができました。最後の一枚を取った人がすぐに報告してくれることもあります。準備不足だった私は生徒に救ってもらっています。
◎前列から一枚ずつ自分のプリントをとって残りを後ろに渡していくとき、一枚不足していれば最後から2番目に座っている人が最初に気づきます。その人が速やかに不足を訴え出れば、最後列に座っている人は救われます。再配布にかかる時間も短縮でき、全体が救われます。
◎1月20日の特別練習終了時、車の送迎場所でいつもの通り交通整理のために立っていた私に、軽く手を挙げて通り過ぎるドライバーさんがいらっしゃいました。乗降場所に生徒が未着だったために、「もう一周回ってきます」という意思表示を私にさりげなく伝えてくださる手振りでした。とてもスマートで、寒風の中ではありましたが心が温まりました。
◎落ちているプリントをそのままにせず拾い上げる生徒。次に停める人のことを考えて自転車を停める生徒。自転車を出しやすくするために手伝ってあげる生徒。交換採点の時に感謝の気持ちを口にできる生徒。
◎ちょっとした場面に『人』がでます。その『人』は育ってきた環境を学習することで、良くも悪くも決定されます。良い場面を目にしたとき、私はご家庭の雰囲気に思いをはせることがよくあります。
◎入室時や退室時に、あいさつをしない、あるいはしていても聞こえない生徒がいます。指導すると改善されますから、指導を受ける場面がこれまであまりなかったのでしょう。
 ずいぶん前のことです。賞品を買いに行った店で、知り合いのそろばんの先生親子に会いました。中学生くらいの息子さんに「金本先生に挨拶しなさい。ポケットから手を出して!」と命ずるお父さん先生はポケットに手を突っ込んでいました。血は争えないものです。
◎年末年始、「今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします」「明けましておめでとうございます」と、恥ずかし気にも精一杯伝えてくれた生徒が何名かいました。ご家庭の皆様に指導され、練習してきた光景が目に浮かびます。
◎パナソニック創業者の松下幸之助氏はリーダーとして成功する人の3つの条件として「愛嬌」「運が強そうなこと」「後ろ姿」を社員に示したそうです。私にはご家庭の皆様の後ろ姿は直接見えませんが、日々の生徒の言動を通じて良い後ろ姿を想像させていただいています。
◎ひるがえって自分自身を考えてみると想像するだに恥ずかしいことも多々ありますが、今まで通り真正面から生徒と全力で向き合う2024年にすることを誓います。

2023.12.25

凡事徹底(塾報12月号より)

◎教室の出入り。挨拶をしない生徒が一定数います。促すと、小さな声で恥ずかしそうにつぶやきます。
 挨拶や返事は、相手に伝わることが目的ですから、独り言のようにつぶやいていては意味がありません。
 おそらく習慣がないのでしょう。
 ドリームカードの賞品引き替えがほぼ終了しました。一人分ずつ賞品をセットして出席時に渡していきましたが、お礼を言って受け取った生徒がほとんどの中、やはり1割程度の生徒は黙って受け取ろうとしました。
 これもおそらく習慣がないのでしょう。
 習慣がなければ今後意識して習慣づけていけばいいわけです。
 現在、入室時に無言や声が小さい場合はやり直してもらっています。授業入れ替え時、生徒対応で気がつかないこともありますが、習慣がつくまではできるだけ指導していきます。
◎正しい計算方法にのっとって正確に珠を操作するのがそろばんを使った計算です。正解を得るために必要なのは、正しいことをやり抜く精神力と集中力です。
 どんな大きな数でも分解すれば一つずつの数字が集まったものです。基礎基本を忠実に徹底すれば正解を得ることができますので、正解を得るために「基礎基本の忠実な徹底」の継続を支える精神力と集中力を育てるのがそろばん学習です。
◎習慣は一朝一夕では身につきません。継続した意識的な取り組みが必要です。また、そろばん教室だけで全面的に育てられるものでもありませんし、育った能力がそろばん教室の中だけで発揮されているとすればもったいない話です。
◎「凡事徹底」という言葉があります。当たり前のことを当たり前にやることが大切だという意味です。
 大きなことをするために小さなことをおろそかにしていてはいけません。鉛筆は削られているか、カバンの中は整理整頓されているか……。準備・点検が習慣になっていれば、それは「強み」です。
◎平凡は、積み重なれば非凡です。
 あいさつ、正しい指使い、正確な計算方法など、一つずつはちょっとしたことかもしれませんが、非凡の領域まで高めるためにこれらのちょっとしたことでさえも教室では見過ごしません。見落としてしまうことはありますが、気がついた際にそのまま見逃すことはありません。
◎と書きますと、息が詰まるような印象があるかもしれませんね。
 日常、生徒たちは基本的に自分の課題と向き合って過ごしていて、注意をすることはほとんどありません。それだけに、集中力が途切れている生徒はいっそう目立つのですが、そんな生徒でも少しずつ良い方向に変わっていきますから、いつまでも注意され続けることはありません。
◎2023年もあと1週間を切りました。皆さんにはどんな一年だったでしょうか。
 星の郷教室は「凡事徹底」を意識して、生徒一人ひとりに寄り添いつつも迎合することなく、将来に向けての準備をする時間を過ごすことができているか、ということのみに注力してきました。来年もこの姿勢で臨んでまいります。
 今年一年、ご家庭の皆様には多大なご協力とご理解、ご支援を賜りましてどうもありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2023.11.25

検定・大会のすすめ(塾報11月号より)

 12月は、暗算検定に始まり、あんざん種目別チャンピオン大会、A1グランプリ大会、みらい検定(そろばん)、クリスマスカップと、検定や競技大会が次々に行われます。
 A1大会は昨年まで1月に開催されていましたが、今年度は会場借り入れの都合で12月になりました。星の郷教室からはあんざん種目別チャンピオン大会に52名、A1大会に34名がエントリーしています。2週連続で大会に出場する皆さんは22名、暗算検定と合わせて3週連続の生徒がなんと4名もいます。大変な年の瀬ですね。ただ「仕事は忙しい人に頼む」ともいいます。練習時間や練習内容を工夫するチャンスととらえて一つずつきちんと向き合っていきましょう。
 11月12日には大阪一決定戦が行われました。悔しい結果に終わった生徒の中には悔しさや悲しさや歯がゆさ、背負った責任の重圧など様々な思いが去来しているかのように、唇をかみ目を真っ赤にして一点を見つめる姿がありました。
 成功から学ぶこともあれば失敗から得られるものもありますが、大会で学ぶことや得られるものの質と量は、大会に向けての取り組みの内容で決定されます。
○目的意識をしっかりと持って計画的に課題を設定し、課題達成に向けて練習を繰り返す。
○今はできなくともわずかな光明が見えていないか。見えているならばもう少し我慢をして続けてみる。見えなければ別のアプローチを探して取り組む。
 大会や検定の存在意義は、上に挙げた言葉につきます。
 練習では、生徒の技術レベル、年齢、精神レベルに応じて指導内容を変えます。同じ生徒であっても日々変化しますから日を追って指導内容が変遷することもしばしばです。
 星の郷教室では将来に向けてのささやかながらの準備につながることを願って、検定受験や大会への参加を積極的に勧めています。
 検定合格や大会での自己記録更新を目指して怠らず入念に準備を進めていくこと。そしてこの経験を将来につなげていくこと。
 正しい知恵は、その場に応じて最適解を見つけ出す頭の回転の早さと正確性とで成り立っています。知恵を身につけるには目的意識と意思を持って自分から進んで繰り返し訓練する必要があります。人から教えられて身につくのは知識であり、知識を駆使して使い物にする術が知恵です。
 先月号に続けてそろばん学習の現代的意義について書いてみました。

2023.10.25

いっぱい失敗しましょう(塾報10月号より)

 星の郷教室でそろばんを練習する目的は様々だと思います。入会時の目標がそのまま続いている人もいれば、変わっている人もいるでしょう。練習時間の多い皆さんの中には、衣食住と同様に、目的を意識することもなく日課になっている場合もあるのではないでしょうか。
 現在高校1年生になっているある生徒は小学高学年の頃、『(星の郷)教室に住みたい』といっていたそうですから、まさに生活の一部になっていました。
 授業ではよく短い文章を生徒に書いてもらいます。成績が良いときや悪いとき、前回の練習点から大きく上がったときや下がったとき、自己記録を更新したときや自己記録に遙かに届かなかったとき。気になる間違いをしたとき。課題を克服したとき。出席直後から不機嫌な顔をしているとき。トイレから帰ってくる階段をおそろしくゆっくりと歩いているとき……。
 そろばんや暗算の実力養成に関係のあることから全く関係のないことまで、とにかく言葉にしてもらいます。
書くことが思いつかない場合は、「わかりません」と書くことを認めていますが、適当な言葉でごまかそうとすると、書き直してもらいます。
 文字にするためには頭で考えてまとめなければなりません。行動を思い起こさなければなりません。何も考えずにやっていたならば、何も考えずにやったこと自体を意識しなければなりません。そうして、何も考えずに起こした行動は、身につくものがないことを学んでいきます。
 10月22日は珠算能力検定試験1~3級と、段位認定試験が行われました。試験に向けて約1ヶ月、答案を分析し、いろいろな指導を行ってきました。同じ間違いを繰り返す生徒には、間違いに対する感受性を磨くような言葉がけや意識付けを行ってきました。
 すると、課題克服に向けて「○○の目的を達成するために○○の目標を決める。目標をクリアするには○○の問題を○○を意識して○○秒でできるように練習を繰り返す」といった、明確な活動内容を言葉にできる生徒が増えてきました。
 生徒は失敗から学んだのです。
 目的・目標がなければ失敗という概念はありません。また、行動しなければ失敗は生まれません。「失敗は成功のもと」の原則は、生徒によって毎日毎時間証明されています。
 そろばん教室は、安全に間違うことができる場所です。何度失敗しても大丈夫です。間違いや失敗をしっかり取り返す努力さえ惜しまなければいいのです。
 これもそろばんを練習する現代的な意味の一つだと思っています。

ACCESS{アクセス}

教室名 星の郷総合教室
所在地 〒576-0022
大阪府交野市藤が尾4-6-10
電車の場合 JR片町線星田駅、または、京阪電車河内森駅から徒歩15分
自動車の場合 第二京阪道路交野南インターチェンジから5分、交野北インターチェンジから10分
国道168号線西川原交差点を西に入り、1分